2003年の中央教育審議会大学分科会において示された「高等教育の将来構想(グランドデザイン)」の議論の中に、これからの大学の社会貢献として、地域社会に対して連携しつつ、“地域支援”を展開するという、より直接的具体的な方向性が提示された。
明星大学は、創設当時から地域との連携を重視し、地域に根差した大学として種々の地域貢献活動を展開してきた。特に心理学領域では、近接自治体との連携関係の中、地域コミュニティ支援活動を展開してきている実績がある。本書は、高度専門職業人養成と大学の社会貢献という観点で、それぞれの実践を整理し、その成果を報告したものである。また、大学と地域との連携を展開し、より有意義な活動に結びつけていくための評価を検討し、まとめたものである。
[第Ⅰ部]大学の地域貢献と、学部学生・大学院生の支援活動への参画の実際 ―実践研究報告―
序 大学と地域社会との関わり
1 ヒューマン・サービス分野での連携のあり方と基盤整備
2 学生派遣による学校教育への支援活動
3 心理相談センターの自治体教育相談事業への支援
4 大学研究室の教育相談行政への支援
5 大学心理相談センターと大学教育の新しい枠組み
6 学生の相談支援活動と新しい学びの形態
7 適応指導教室を支援した学生からの報告
[第Ⅱ部]大学と地域社会との関わり ―地域からの評価―
1 地域連携・地域貢献プロジェクトの評価
2 アンケート調査の概要
3 アンケート調査の結果
4 評価のまとめ
[編者]
福田 憲明(ふくだ のりあき)
略歴/明星大学人文学部准教授、心理相談センター副センター長、臨床心理士
国際基督教大学大学院修了。多摩市教育研究所、成蹊大学学生相談室専任カウンセラー、私学や東京都スクールカウンセラーを歴任。
教育委員会の教員研修講師など教員支援やコミュニティの中での心理支援を実践的に研究している。
著書/臨床心理士のスクールカウンセリング(共著 誠信書房)、実践! スクールカウンセリング(共著 金剛出版)など。
黒岩 誠(くろいわ まこと)
略歴/明星大学人文学部教授、心理相談センターセンター長、医学博士、臨床心理士
早稲田大学大学院修了。東邦大学医学部助教授、学生相談や私学スクールカウンセラーとして教育コミュニティの中での心理臨床にも従事。
著書/高齢者用SCT尺度作成の試み(共著 東邦大学紀要17)、総合的人格発達診断検査の作成に関する研究(共著 科学研究費研究成果報告書)、最新・心理学序説(共著 金子書房)、心理アセスメント概論(共著 実務教育出版)、評価・診断心理学辞典(分担執筆 実務教育出版)。健康心理学辞典(分担執筆 実務教育出版)など。
[執筆分担一覧]
福田 憲明(第1部 序、4~7章、第Ⅱ部 4章)
黒岩 誠(第Ⅱ部 1章、2~3章)
上村 恭子(第Ⅰ部 3章)
遠藤 愛(第Ⅰ部 1章)
大石 幸二(第Ⅰ部 1章)
神田 聡(第Ⅰ部 2章)
小貫 悟(第Ⅰ部 2章)
中村 有(第Ⅱ部 2~3章)